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zoom RSS 在来線200km/h運転への課題を思いつくまま並べる

<<   作成日時 : 2012/06/15 19:12   >>

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Twitterの方でネタが流れてきたので、在来線200km/h運転への課題がどの程度ありそうか、思いつくままに並べてみた。整備新幹線の話が出るたびに、在来線を高速化すればいいという論は表裏一体かのごとく出てきますし。

非常ブレーキの600m規則は文面からは消えていますので、信号などを対応した設備にすれば200km/h運転は可能ですが、単純に踏切除去ではすまないでしょう。踏切除去をしなくていいとしたところで、それだけですむ問題ではありません。200km/hを狙うとなれば

ハードウェアの問題として、ぱっと思いつくのは、

・信号施設の全面更新
・軌道規格の向上(安全性だけではなく、乗り心地の面でも不足でしょう)
・線路内立ち入り禁止措置
・明かり区間の騒音・振動対策
・雪害対策(雨、風の徐行の影響も相対的に大きくなる)
・曲線対策(低速列車や信号待ち停車等がある以上、カントを上げるのは不可能)
・勾配対策(勾配前後の縦曲線対策)
・分岐器の高速対応への更新
・トンネル通過時の空力(単線or単線並列トンネルは特に問題)
・軌道中心間隔の変更の必要性
・車両限界及び建築限界の変更の必要性
・退避線の増設
・既存待避駅の改造

また列車運転に絡む問題として

・起終点となる大都市圏側の特にラッシュ時の線路容量
・大都市圏発着列車のラッシュ時の所要時間増および列車設定の自由度
・普通列車の高速列車待避増加による乗客減

ざっと思いつくだけでも、このくらいの問題は出てきます。北越急行で行なっている160km/h運転程度ならば、恵まれた路線限定ですが、もう少しハードルは低いでしょうけど。

信号施設については文面から消えたとは言え600m制限に合わせた設備ですから、このままで非常ブレーキ停止距離が600m超の列車が認可されるはずもありません。

軌道規格については言うまでもないでしょう。軌道破壊量は増加しますし軌道自体の精度も当然高い物が求められます。線路内立ち入りについては、東海道新幹線開業の際にわざわざ法律を作ったくらいですが、多くの区間で障壁無く立ち入ることが可能な在来線でどのように対策を取りましょうか。踏切除去と合せて考えれば、実質的に全線立体化で作りなおしに匹敵する費用がかかるかもしれません。農作業の人が踏切の無いところで横断するのはよく見られる光景ですし。

立ち入りとは事情が異なりますが、保線作業者が線路の脇で通過列車をやり過ごす光景はよく見られますが、200km/h運転の列車からの風圧を考えると、このスペースも今より広く取る必要があるかもしれません。

また、北陸本線や常磐線でも住宅地の裏を駆け抜ける場所なんていくらでもあり、小さな町でもこまめに貫いて線路が敷かれている以上、200km/h化による騒音や振動は無視できない要素でしょう。

雪害に対しては、在来線は基本的にほぼ全線が土工軌道ですから、積雪地帯では上越新幹線の如くスプリンクラーでガンガン水を撒くなんてことは出来ないことは東海道新幹線の関ヶ原を見ても明白です。これは特に北陸や東北以北で問題でしょうね。

軌道中心間隔については、210km/h想定の東海道新幹線と260km/h想定の山陽新幹線以降では4.2mから4.3mに規格が変わっているように、在来線でも現在は3.8m以上ですが、130km/hと200km/hで同じ複線間隔でいいのか検証は必要でしょう。しかし、これを変更するとなるとほぼ全線作り直しに等しいですね。用地幅は界標の立っている位置を見れば、複線間隔を10cm広げることくらいは可能でしょうけど、トンネルは掘り直し、鉄橋は架け替えが必要かもしれません。相対式になっている駅の場合はプラットホームも削っていかないとなりません。
(2013/2/24修正)
東海道新幹線開業の頃の鉄道ピクトリアルを見たら、200km/hでのすれ違いには車体間隔が80cm必要ということから軌道間隔を4.2mにしたという記載があったので、在来線の車両限界3000mmの場合は3.8mだから、ここは問題ないですね。

加えて、車両限界や建築限界を広げる必要があるかもしれず、特に後者の影響は大きく、実質的に多くの構造物の改築をしなければならないかもしれません。

待避駅の増設は普通列車や貨物列車との速度差が増す以上当然ですが、よくある2面3線駅で1番線と3番線を通過する構造の場合、ホーム前後の曲線が200km/h通過に対応しているとは思えませんからこの改造も必要な駅がそれなりにあるでしょう。退避線の有効長を短縮できない場合は、曲線緩和によって駅構内の長さが長くなりますから、用地買収が必要になるかもしれません。

曲線についてはどうしようもありません。振り子で逃げるにも床面方向の加速度が増えるだけですからそんなに限界は高くはありませんし、制御があろうと無かろうと自然振子では傾斜させることは物理的な限界速度を下げる方向に働くので、強制振り子の実用化が必要でしょうね。

勾配を登るだけなら出力を上げれば済みますが、下りの方はブレーキによる非常停止を考える必要があります。また、勾配前後の上下方向遠心力も問題になります。下り勾配の終わりでは押さえつけられるだけですが、上り勾配の終わりでは浮き上がることになるので脱線の危険性が出てきます。10‰以下の坂は至る所にありますから勾配前後の縦曲線も至る所にあります。在来線の縦曲線規格は800R以上の曲線や直線では3000Rとなっていますから、160km/hで通過した場合の向心加速度は0.067Gです。東海道新幹線(10000R)の270km/h運転ですら0.057Gですから、在来線で200km/h運転を行うには縦曲線の改良が全線に渡って必要になるかもしれません。

これだけのことをやって200km/h運転を可能にしたとして、その建設費はどのくらいになるでしょうか。街外れに土地を買って、一本丸ごと作るのと大差ないかもしれません。地価の高い地域ならば用地買収が少なくて済む在来線流用のほうが安くあがるでしょうけど。反面、専用線になる新幹線と違って、増発余力や定時性にはハンデを背負うわけですし。

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