国産車のGTグレードが減ったのはいつのことか

WEBCARTOPのWEBの記事のネタにマジレスするのもかっこ悪いのだけれど、いくらなんでも、こんな事実誤認に基づいた記事は自動車メディアとしては許されざるものだろう。

日本車のグレード名から「最近」GTグレードが激減していて、その原因として、1997年発売のゲームのグランツーリスモを挙げるなんて、事実誤認も甚だしい。
事実を列挙していくと、まず、国産車でGTグレードが大量にあったのはトヨタ、日産、マツダになる。ホンダはSiとかだし、三菱はGTOという車名はあってもスタリオンや後のランエボでも、GSRを好んで使っていたし。日産にしてもフェアレディZにはGTグレードが無い。

さて、トヨタとマツダのGTグレードがいつ頃無くなっていったかというと、こんな感じで、フルモデルチェンジの際にグレード名をGTとは異なる新しいものに変えている。

マーク2 1992年 GT→ツアラー
セリカ 1993年 GT→SS- (GT-FOUR 1999年廃止)
スープラ1993年 GT→RZ/SZ
カローラ1995年 GT→BZ-? (4ドアGTも廃止)
スターレット 1996年 GT→グランツァ
MR-S/2 1999年 GT系廃止
ソアラ 2001年 モノグレード化(先代1991年)

RX-7 1991年 GT→タイプ
コスモ 1990年 GT→タイプ
ファミリア 1994年 GT-X廃止

グランツーリスモが発売になる前から次から次へとGTグレードを廃止していっている。マツダに関しては例外としてプレッソがマイナーチェンジの際にFi-XからGT-Aに変更したという事例があるけど、RX-7やユーノスコスモをさしおいてプレッソが特別にスポーティだと言う人は皆無だろう。
トヨタに関してはトヨタ本体のGTグレードは壊滅したけど、2010年以降TRDによるチューニングモデルにGTはある。実際に発売になったTRD カローラアクシオGTとか、初代後期型の幻のTRD オーリスGTとか。
IMG_0015.jpg

GTというグレードが減った時期は、スポーティーな車自体が減ったからでも、ゲームの略称をさすようになったからでもなく、ゲーム発売前に既にスポーティーな車がグレード名からGTを捨てていたというのが事実になる。ゲームと混同するからというなら、TRDだってアクシオやオーリスのチューニング車にGTなんて付けないだろう。日産にGTが残ったのは、グレード名云々よりもGT-Rをグレードではなくブランドとして位置付けたから無くしたくても無くせないからだろうな。1995,6年のルマンのトップカテゴリーが市販スポーツカーベースになった際にも、フェアレディZではなくわざわざニスモGT-R LMというワンオフモデルを発売してまでGT-Rを出しているくらいだし、2014年のFFプロトだってGT-R LM NISMOという名前だし。

もう一つGTが残っているメーカーのスバルに関しては、高性能やスポーティさの象徴というより字義通りのGrand Turing Carととらえるべきだろう。インプレッサが2007年のフルモデルチェンジでWRXが無くなって高性能グレードがS-GTという初めてのGTグレードになったけど、すぐ後にその上の性能のWRX STiが出てきているし。

ではなぜ1990年代前半に相次いでスポーティーカーがGTを捨てたのか。曖昧な記憶しかないけれど、日本にクーペがワーッと増殖した1990年前後には、自動車雑誌などでも「スポーツカーとGTは異なる」とかいうような文章があったような記憶がある。つまり、ハンドリングを含めた運転を楽しむ車と、長距離を移動するための車の区別を殊更に強調するようなものだ。それに、トヨタの場合だとそもそも高性能ではあってもスポーツカーとは呼んでいなかったんだよな。80系スープラの開発者自身が「トヨタ初のスポーツカー」と呼んでいたくらいだから、メーカーも堂々とスポーツカーを名乗れる時代になったというのもあるだろう。80年代の初代MR2やバラードスポーツCR-Xが、それぞれ、スポーツカーではない新しいジャンルの車(だからラナバウト)とか、名前にスポーツが入っているのにコミューター的スポーツカーが元のコンセプトとかいう、よく分からない言い訳と共にあった時代から脱却したという意味もあろう。

だから、グレードからGTが無くなっていくのは、単なる高性能なGTカーではなく、堂々とスポーティさを強調するスポーツカーだと主張できる時代になったから。というのが私が持っている印象なのよね。

この記事へのコメント